色を正確に扱う必要のある仕事をするときにカラーマネジメントモニターが必要な理由の例を紹介します。
データの色を正確に見るためにカラーマネジメントモニターが必要
画像データや印刷のレイアウトデータなどはそれ自体で何らかの色を持っています。
例えばカラープロファイルを埋め込んだ画像データは正確にどのような色か決まっています。
カラープロファイルを埋め込んでいないCMYKのレイアウトデータがあったとして、そのデータがJapanColor2011Coatedの条件で印刷する前提になっているならすでに色は決まっています。
そのようなデータ自体の色を正確に見なければ作業や確認ができないので、正確に色を表示できるカラーマネジメントモニターが必要になります。

データの色をモニターで表示
長さに例えるなら定規のようなもの
データの色を扱うためにカラーマネジメントモニターが必要であることを、長さに関する話に例えてみます。
長さの話とデータの色の話では多少理屈は異なりますが、雰囲気は少し似ています。
木で本棚などを作ったりするとき、材料の長さを正確に測るために定規が必要です。
定規を使わず、何となく見た目で長さを判断して材料を切るなどしても一応本棚は作れるかもしれませんが、寸分違わず設計図通りの寸法に材料を切って正確に本棚を作るためには定規で正確に長さを測る必要があります。
画像データや印刷のレイアウトデータなども普通の液晶モニターで表示して作業を進めても一応プリンター出力したりオフセット印刷をしたりできますが、データを作って自社の印刷結果を正確に再現した色校正を出力したりするためには画像データやレイアウトデータの色をカラーマネジメントモニターで正確に表示する必要があります。
料理に例えるなら「はかり」や計量カップのようなもの
データの色を扱うためにカラーマネジメントモニターが必要であることを、重さや容積に関する話に例えてみます。
重さや容積の話とデータの色の話では多少理屈は異なりますが、雰囲気は少し似ています。
料理の本を見て料理を作るとき、材料の量を正確に測るために料理用のはかりや計量カップなどが必要です。
はかりや計量カップなどを使わずに何となく見た目で分量を判断しても一応料理は作れるかもしれませんが、寸分違わず料理本の指示通りの量の材料を使って本の料理を再現するためにははかりや計量カップなどで正確に材料の量を測る必要があります。
画像データや印刷のレイアウトデータなども普通の液晶モニターで表示して作業を進めても一応プリンター出力したりオフセット印刷をしたりできますが、データを作って自社の印刷結果を正確に再現した色校正を出力したりするためには画像データやレイアウトデータの色をカラーマネジメントモニターで正確に表示する必要があります。
高い精度でデータの色を表示するためにカラーマネジメントモニターが必要
普通の液晶モニターをモニターキャリブレーションツールでキャリブレーションをしてもある程度正確な表示ができますが、カラーマネジメントモニターの方が精度の高いキャリブレーションができます。
ハードウェアキャリブレーションが可能なカラーマネジメントモニターはキャリブレーションの精度が高く、激安品でなく高い性能のカラーマネジメントモニターなら実際に表示する色数より多い情報を使って内部で計算をして表示を行うので画質の劣化がなく精度の高い表示ができます。
色にシビアな仕事ならデータの色を高い精度で正確に見る必要があるのでカラーマネジメントモニターが必要になります。
カラーマネジメントモニターが不要なケース
以下のような用途ならカラーマネジメントモニターがなくても問題ないかもしれません。
単に表示可能な色域が広いモニターが必要で、正確さを求めるわけではない場合はカラーマネジメントモニターでなくても大丈夫です。
普通の液晶モニターで色域がAdobeRGBくらいなど表示可能な色域の広いモニターを使えば済みます。
単にきれいな色で表示できるモニターが必要で、正確さを求めるわけではない場合はカラーマネジメントモニターでなくても大丈夫です。
普通の液晶モニターで自分好みの色のモニターを使えば済みます。
一方、カラーマネジメントモニターはデータの色を正確に表示するだけです。例えば見栄えのするきれいな色をしたヒマワリの写真のデータを表示するとデータの通りに見栄えのするきれいな色をしたヒマワリが表示され、きれいではないくすんだ色をしたヒマワリの写真のデータを表示するとデータの通りにきれいではないくすんだ色をしたヒマワリが正確に表示されます。
以上、カラーマネジメントモニターが必要な理由の例でした。