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AdobeRGBで撮影した写真はsRGBの色域のモニターでも正常に表示可能

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 AdobeRGBで撮影した写真はAdobeRGBの色域を表示可能なモニターでなければ正しく表示できないと思うかもしれません。
 AdobeRGBの画像データはsRGBくらいの色域のモニターで正常に表示できます。

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ディスプレイの表示が正確かどうかと、表示可能な色域が広いかどうかということは別

 パソコンなどのモニターの表示が正確かどうかということと、モニターが表示可能な色域はどのくらい広かということは別の話です。

 正確に調整されたAdobeRGBくらいの色域のモニターなら、AdobeRGBの写真を正確に表示できます。
 正確に調整されたsRGBくらいの色域のモニターなら、AdobeRGBの写真をそのままは表示できませんが、カラーマネジメントシステムの仕組みを利用してモニターで表示可能な色域に変換する処理を行なうことで一応正確に表示できます。

AdobeRGBの写真(あくまでイメージです)

AdobeRGBの写真(あくまでイメージです)

AdobeRGBの写真を、正しくキャリブレーションしたAdobeRGBくらいの色域とsRGBくらいの色域のモニターにそれぞれ表示して比較した例。sRGBのモニターの方は色域圧縮がかかって多少色が変化する部分はあるが、圧縮の処理は正しく行われいずれも一応正確に表示される。(あくまでイメージです)

AdobeRGBの写真を、正しくキャリブレーションしたAdobeRGBくらいの色域とsRGBくらいの色域のモニターにそれぞれ表示して比較した例。sRGBのモニターの方は色域圧縮がかかって多少色が変化する部分はあるが、圧縮の処理は正しく行われいずれも一応正確に表示される。
(※ウェブページは何らかの1つのモニターで表示することになり、元の画像データの色とモニターに表示した場合の色をウェブページ上で正確に再現することができません。そのためこの図はあくまで雰囲気を伝えるイメージです。)

 正しく調整されていないAdobeRGBくらいの色域のモニターなら、どのようなデータでも正確に表示できません。
 正しく調整されていないsRGBくらいの色域のモニターも、どのようなデータでも正確に表示できません。

AdobeRGBの写真を、表示が不正確で色域がAdobeRGBくらいとsRGBくらいの各モニターにそれぞれ表示した例。表示可能な色域に関係なくいずれも不正確な表示になる。(あくまでイメージです。)

AdobeRGBの写真を、表示が不正確で色域がAdobeRGBくらいとsRGBくらいの各モニターにそれぞれ表示した例。表示可能な色域に関係なくいずれも不正確な表示になる。(あくまでイメージです。)

楽器に例えてみる

 正確にチューニングされている鍵盤数88のキーボード(7オクターブほどの音を演奏可能)なら、7オクターブくらいの範囲を使用する曲をそのままは正確に弾けます。
 正確にチューニングされている鍵盤数61のキーボード(5オクターブほどの音を演奏可能)なら、7オクターブくらいの範囲を使用する曲をそのままは弾けませんが、上手な人が5オクターブで弾けるようにアレンジするなどして一応正確に弾けます。

 チューニングがずれている鍵盤数88のキーボードなら、どのような曲を弾いても正確に弾けません。
 チューニングがずれている鍵盤数61のキーボードも、どのような曲を弾いても正確に弾けません。

鍵盤楽器のイメージ

鍵盤楽器のイメージ

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ディスプレイの表示可能な色域を超えるデータでも正常に表示できる

 作業によってはモニターで表示可能な色域の範囲外の色を持ったデータを扱わなければならない場合もあります。
 プリンターで印刷可能な色域の範囲外の色を持ったデータを印刷する場合もあります。
 オフセット印刷で再現可能な色域の範囲外の色を持った写真をオフセット印刷で印刷する場合は多々あります。

 デジタル機器で色を扱う時にはたいていその機器で再現可能な色域の範囲外の色を含むデータを扱う必要があり、カラーマネジメントシステムではそのようなときにも色を正確に扱える仕組みが用意されています。

 ですのでsRGBくらいの色域のモニターでもAdobeRGBのデータをある程度正確に表示できます。

色域圧縮/ガモットマッピングを行うことで色域外の色も正常に表示できる

 パソコンのデータをモニターに表示したり、パソコンのデータをプリンターで印刷するなど、デジタル機器の間で色の情報を渡すときに相手の機器の色域に収まりきらない色が存在する場合はよくあります。

 そのような場合はできるだけ見え方が変わらないようにしながら色域圧縮ガモットマッピングという処理を行い、色の情報を渡す先の機器で再現できる色域に収まるように変換します。
 そのようにして色域の広さの異なるデバイスどうしでも色の情報を渡すことができます。

 AdobeRGBの色域の写真をsRGBしか表現できないモニターに表示する場合も、色域の変換を行うことで正常に表示ができます。

色域圧縮をオーディオ機器に例えてみる

 再生可能な音域が狭いオーディオ機器でも、機械が正常なら正しく音楽が流れます。
 元の音のデータには再生可能な音域の狭いオーディオ機器では表現できない程の広い範囲の音の情報が入っていたとしても、音域の狭いオーディオ機器なりに正確に音楽が流れます。

 このようなオーディオ機器の話とAdobeRGBのような広めの色域のデータをsRGBくらいの色域のモニターで表示することとは、雰囲気は多少似ています。

異なる性能のオーディオ機器で同じ曲を再生できる

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モニターの色域外の色が変換されていることを意識する必要はある

 AdobeRGBのデータをsRGBくらいの色域のモニターで表示した場合、モニターの色域に収まらない色は変換され、変換された部分は元のデータの色と多少変わります。
 仕事でデータを扱うような場合でsRGBくらいの色域のモニターを使うとき、AdobeRGBなど色域の広めの色空間のデータを扱う際はモニターの色域外の色は変換されているということを意識して作業する必要はあります。

 以上、AdobeRGBで撮影した写真はsRGBの色域のモニターでも正常に表示可能であることの紹介でした。

参考記事

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