パソコンから写真などをインクジェットプリンターで印刷するとき、プリンタードライバーの設定画面で「用紙種類」や「印刷品質」などいくつかの項目を自分で設定します。
ここではインクジェットプリンターのプリンタードライバーの設定画面にある用紙種類、印刷品質などの各設定項目のおおまかな意味を紹介します。
※このページではEPSON®のプリンターを使用しています。
プリンタードライバーの設定は重要だが分かりにくい
プリンタードライバーの設定項目は結構多く、分かりにくい
インクジェットプリンターのプリンタードライバーの設定はきれいに印刷するために重要です。
プリンタードライバーの設定画面に用紙の種類、印刷品質、色補正の方法、などの設定項目が並んでいます。
プリンタードライバーに写真の色調整をする機能が付いている場合も多いです。
プリンタードライバーの設定画面のような画面でタブを切り替えたりするとカラープロファイルの設定欄もあるかもしれません。
カラープロファイルの設定欄の他に、OSのカラーマネジメント機能を使用する場合のカラープロファイル設定欄も近くにあったりします。
プリンターの機種によってプリンタードライバーの設定画面にかなり違いがあったり、同じ機種のプリンターでもMacとWindowsでプリンタードライバーの設定画面の雰囲気がかなり違ったりします。
各設定項目が複数並んでいて、各設定項目がどのような意味合いの設定なのか分かりにくいです。

インクジェットプリンターのプリンタードライバーの設定画面の例
プリンタードライバーの設定は正常に印刷するために重要
インクジェットプリンターで正常にきれいに印刷するために、プリンタードライバーの設定は重要です。
設定を間違えると、プリントヘッドが紙に接触して汚れたり、インクの量が適切でなくきれいな印刷結果にならなかったりします。
しかし、プリンターからの印刷結果の色がおかしいときにプリンタードライバーの設定を見直してみたとしても、どの設定に問題があるのかよく分からないかもしれません。
プリンタードライバーの各設定項目のおおまかな意味
以下は一般的なインクジェットプリンターのプリンタードライバーの各設定項目のおおまかな意味です。
※プリンタードライバーが行なっている作業は複雑です。詳しくはメーカーの人などに聞く必要があります。
「用紙種類」はインクの量や紙の厚さなどに関する設定
大雑把に言うと、「用紙種類」のような感じの名称でプリンターメーカー純正のプリンター用紙の名前や「普通紙」やその他の用紙の名前などからいずれかを選ぶようになっている設定は、印刷時のインクの量や紙の厚さなどに関する設定です。

EPSONプリンターの用紙種類の設定欄の一例(Mac)

EPSONプリンターの用紙種類の設定欄の一例(Mac)

EPSONプリンターの用紙種類の設定欄の例(Windows)
「用紙種類」でインクの量などが設定される
用紙の質が異なれば丁度良いインクの量も異なります。
コピー用紙のような紙にたくさんインクを吹きつけるとベチャベチャになって紙が波打って良い印刷結果にならないかもしれません。
光沢の写真専用紙のようなコーティングされている用紙なら、コピー用紙より多めにインクを吹き付けて発色の良い印刷結果が得られるかもしれません。
そのように、用紙の性質によってちょうど良いインクの量は変わります。
例えば「用紙種類」で「EPSON写真用紙」を選んだら、EPSON写真用紙に印刷するときに最適なインクの量になるよう設定されます。(あくまで大雑把な雰囲気です。)
「用紙種類」で用紙の厚さに関する設定が行われる
インクジェットプリンターは用紙の表面のすぐ上あたりをプリントヘッドが往復してインクを吹き付けて印刷します。
厚さ0.2mmの紙に印刷するなら、プリントヘッドは厚さ0.2mmの用紙の表面のすぐ上あたりを往復して印刷することになります。
厚さ1.5mmの紙に印刷するなら、プリントヘッドは厚さ1.5mmの用紙の表面のすぐ上あたりを往復して印刷することになります。
プリントヘッドの位置を厚さ0.2mmの紙に適した位置に設定して、1.5mmの用紙に印刷しようとすると、紙の表面とプリントヘッドの距離が近すぎてプリントヘッドが紙に接触してしまうかもしれません。
プリントヘッドの位置を厚さ1.5mmの紙に適した位置に設定して、0.2mmの用紙に印刷しようとすると、紙の表面とプリントヘッドの距離が遠すぎてきれいに印刷できないかもしれません。(※あくまで雰囲気です。どのくらい距離が離れると支障が出てくるのか詳しくはメーカーの人に聞かなければ分かりません。)
そこで、プリントヘッドは用紙の厚さに合わせて位置などを調節する必要があります。
「用紙種類」の設定で紙の厚さに関する設定が行われます。
例えば用紙種類を「EPSON写真用紙」に設定すると「EPSON写真用紙」の厚さの紙に印刷するのに適した状態になります。
紙の質が「EPSON写真用紙」と似ていて、厚さも「EPSON写真用紙」とほぼ同じ紙なら、用紙種類で「EPSON写真用紙」を選んで印刷するとある程度うまく印刷できるかもしれません。
紙の質が「EPSON写真用紙」と似ていて、厚さは「EPSON写真用紙」の3倍くらいある厚い紙なら、用紙種類で「EPSON写真用紙」を選んで印刷するとプリントヘッドが用紙に接触してこすれて正常に印刷できないかもしれません。
「用紙種類」で紙とプリントヘッドの距離に関する設定が行われる
光沢の写真専用紙のような紙は表面が非常に平らなので、プリントヘッドが紙の表面のすぐ近くを往復しても紙に接触してしまう心配は少ないです。
一方、かなり凹凸があるようなエンボスの用紙や和紙などは、プリントヘッドがあまり紙の表面のすぐ近くを往復すると紙とヘッドが接触してしまうおそれがあるので、紙の表面とプリントヘッドの距離を少し離し気味にする必要があります。
インクジェットプリンターにはこのように紙の質に合わせて紙とプリントヘッドの距離を調整する機能があり、「用紙種類」には紙とプリントヘッドの間の距離に関する設定も行われます。
※「紙の厚さに関する設定」と「紙とプリントヘッドの距離に関する設定」はどのように違うのかはメーカーの人などに聞かなければ詳しくは分かりません。少なくとも詳細な設定を作れるインクジェットプリンターなどでは用紙の「厚さ」の設定項目の他に紙とプリントヘッドの距離に関する設定をする「プラテンギャップ」という設定項目があります。
「用紙種類」を選び間違えてもそれほど異常な色にはならない
「用紙種類」設定を間違えると印刷結果がきれいでなかったり、プリントヘッドが紙に接触して汚れたりします。
しかし「用紙種類」の項目を少し選び間違えても印刷結果がとてつもなく変な色になるということはあまりありません。
印刷結果が異常な色になっているなら「用紙種類」ではなく別の設定が間違っている可能性が高いです。
「印刷品質」は印刷解像度に関する設定
「印刷品質」などの名称で「速い」「標準」「きれい」「高精細」などの項目を選んだり、印刷解像度の数値を選んだりする設定は、印刷解像度に関する設定です。印刷解像度によりインクの量も調整されたりします。
大雑把に言えば、インクジェットプリンターは紙に細かい点の集合で文書や写真を印刷しています。
「印刷品質」で点の細かさを設定します。
点が細かいほど精細な印刷結果になりますが印刷に時間がかかり、点が粗ければ印刷は速いですが印刷結果は粗くなります。
習字の筆で半紙に点を描くならそれほど小さい点は描けませんが、習字の筆でカレンダーの裏面に点を描くなら結構小さい点を描けるかもしれません。
それと似たような感じで、印刷解像度を高く設定して細かい点で印刷できる用紙もあれば、あまり印刷解像度を上げられない紙もあります。
紙にどのくらい細かい点を描くかということと使うインクの量は関係しているので、「印刷品質」で印刷解像度の設定をするとインクの量も何らかの調整をされていると思われます。
「用紙種類」の設定で用紙に適したインクの量などが設定されていますが、さらに「印刷品質」の設定で印刷速度が遅くても良いので印刷解像度を高くして使うインクも多めで高精細な印刷をするか、印刷解像度を低くして使うインクも少なめで節約して印刷速度を速くするかなどを決めます。

EPSONのプリンターの印刷品質の設定欄の例(Mac)

EPSONのプリンターの印刷品質の設定欄の例(Windows)
「印刷品質」で「双方向印刷」などいくつかの設定も含まれるかもしれない
「印刷品質」で「標準」「きれい」などの設定を選ぶと「双方向印刷」をするかしないかの設定などもセットで行われる場合が多いです。
「印刷品質」で印刷解像度に関する設定をして、なおかつ「双方向印刷」をするかどうかなどは別途自分で選びたい場合は、「印刷品質」で「標準」「きれい」などのプリセットを選ばずに「詳細設定」などを選んで印刷解像度を数値で指定して、「双方向印刷」などの設定欄を用途に合わせて設定します。

「印刷品質」の詳細設定で印刷解像度を指定して「双方向印刷」なども自分で設定した例(Mac)

印刷品質の詳細設定の例(Windows)
「カラー調整」「カラーマッチング」、「色補正」などの項目は色のコントロール用の設定
「カラー調整」「カラーマッチング」、「色補正」などの項目は色のコントロール用の設定です。

MacのEPSONプリンターの「カラー調整」の設定欄の例

MacのEPSONプリンターの「カラーマッチング」関連の設定欄の例

WindowsのEPSONプリンターの「色補正」の設定欄の例

WindowsのEPSONプリンターの「色補正」の設定欄から「設定」に進んだ画面の例
「カラー調整」「カラーマッチング」、「色補正」などの項目の設定を間違うと異常な色で印刷される
「カラー調整」「カラーマッチング」、「色補正」などの項目はカラーマネジメントに関わる設定欄です。
色々ある色管理の方法のうちのどれを使うか、などを決めます。
プリンタードライバーに色の管理を任せる設定にした場合でも、自分で設定する欄が少しあります。
ICCプロファイルを使用する一般的なカラーマネジメントを利用する設定にした場合は、用紙やプリンターの条件に対応するカラープロファイルを選んだりします。
「カラー調整」「カラーマッチング」、「色補正」などの設定次第で色が大きく変わります。設定を間違えると異常な色になったりします。
「用紙設定」などもカラーマネジメントに少しは関係していますが、「カラー調整」などの設定に比べると影響は小さめです。
もしプリンターの印刷結果が異常な色なら、「カラー調整」や「カラーマッチング」、「色補正」の設定が間違っている可能性が高いです。
まとめ
まとめると以下のようにな感じになります。
- 「用紙種類」で全体のインク量と、紙の厚さなどに関する設定
- 「印刷品質」で印刷解像度などの設定。インクの量の微調整なども行われる
- 「カラー調整」「カラーマッチング」、「色補正」等で色のコントロール
色のコントロールの設定が全く分からない場合は「E-Photo」など初心者向けソフトで印刷するのがおすすめ
プリンタードライバーで適切に色の管理に関する設定を行うのは難しいです。
詳しい設定は省略して、単にデジカメで撮影した写真を普通にまともな色で印刷できればそれでよい、という場合が多いでしょう。
そのような場合は、例えばEPSONのプリンターなら「E-Photo」や「Epson Photo+」などのプリンター付属のソフトで印刷するのがおすすめです。
ややこしい設定をせずに、プリンターの色管理に任せて無難に印刷できるようになっています。
参考記事


以上、プリンタードライバーの設定の主な項目の意味をおおまかに紹介しました。
参考記事






