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一枚の商品写真から複数のカラーバリエーションの写真を作る方法の例

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トップのイメージ画像

 一枚の商品写真に写っている商品の色を変えて、複数のカラーバリエーションの写真を作る方法の一例です。

※あくまで一例です。人によってやりやすい作業方法は異なるかもしれません。

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大まかな作業の流れ

  1. 色を変える物の部分の選択範囲を作ります。
  2. 色の見本を見ながら明るさ、コントラストなどを調整します。
  3. 色の見本を見ながら色を着けます。
  4. 不自然ならさらに微調整を繰り返します。
  5. 部品など細かい部分の処理をします。
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モニターについて

 商品写真を作るなら写真のデータの色を正確に表示する必要があるためカラーマネジメントモニターを使います。

 フォトレタッチの仕事などをしているなら測色器を使って定期的に自分でカラーマネジメントモニターをキャリブレーションします。

 EIZOのカラーマネジメントモニターなどは工場出荷時に正確にキャリブレーションをしてあるので、そこまで色にシビアな仕事をしているわけでなければ自分でキャリブレーションしなくてもある程度正確に表示できます。

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色の見本の確認の方法

色の見本が画像データの場合

 別の時期や別の場所などで撮影された複数のカラーバリエーションの写真のデータの色を見本として使うこともあるかもしれません。
 その場合はモニターに色見本の画像データと色変更作業をする画像データを並べて表示して、色見本の画像データと今回色変更するデータが同じ見た目になるように作業します。

今回作業する画像データと、色見本の画像データを並べて表示

今回作業する画像データと、色見本の画像データを並べて表示

モニターの明るさや色合いについて

 色見本の画像データと作業する画像データを同じモニターで表示するので、モニターの明るさや色温度は80dc/m2でも100cd/m2でも5000Kでも6000Kでも基本的に問題ありません。

色見本の画像データの扱い方

画像データの開き方

 色見本として使う画像データは以下のように開きます。

 カラープロファイルが埋め込まれていれば埋め込みプロファイルを使用して開きます。
 カラープロファイルが埋め込まれていなければ、sRGBの画像だと判断できる場合はsRGBで開き、どのような色空間のデータか判断ができない場合は問い合わせます。

画像データのカラープロファイル

 色見本の画像データのRGB値を参照して作業をできるように、作業する画像データと色見本の画像データでカラープロファイルを統一しておきます。
 たとえば作業する画像データがAdobeRGBなら色見本の画像データもAdobeRGBにプロファイル変換しておきます。

商品の実物や素材のカラーサンプルなどが色見本の場合

 商品の実物や素材のカラーサンプルなどを色見本として作業する場合、高演色性の照明を設置した事務所内の高演色性のデスクライトを設置した台などで色見本を見て作業します。
 または標準光源装置などで色見本を見ます。

※事務所の天井の照明は高演色性でない普通の照明でデスクライトだけ高演色照明にした場合、演色性の低い光が混ざるので十分には正確な色を観察できません。

商品の実物や素材のカラーサンプルを見ながら作業する時の例

商品の実物や素材のカラーサンプルを見ながら作業する時の例

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照明とモニターの色温度

 照明とモニターの色温度を同じにしておきます。

 色温度が約5000Kくらいの昼白色の高演色照明の光で色見本を見るなら、モニターの色温度も5000Kにします。
 色温度が約6500Kくらいの昼光色の高演色照明の光で色見本を見るなら、モニターの色温度も6500Kにします。

照明とモニターの明るさ

 色見本を置く場所の明るさとモニターの明るさが同じになるようにします。

 色見本を置く場所に真っ白な紙などを置き、モニターに真っ白な物を表示しておきます(例えばデスクトップの壁紙を真っ白な無地にしたり、ワープロソフトで真っ白な新規ドキュメントを作って表示するなど)。

 色見本を照らすデスクライトの明るさを変えたり、色見本を置く台とデスクライトの距離を変えて色見本を置く台の明るさを調整できます。
 カラーマネジメントモニターはキャリブレーションをするときに輝度の目標を変えることで明るさを変えられます。

色見本を置く場所とモニターが同じ明るさになるよう調整

色見本を置く場所とモニターが同じ明るさになるよう調整

照明とモニターの明るさを合わせる体的な手順の例

 例えば以下のような手順で調整すると色見本を置く台とモニターの明るさを同じにできます。

 はじめにカラーマネジメントモニターのキャリブレーションをします。色見本を見る照明の色温度が約5000Kくらいなら、モニターの色温度も5000Kになるようキャリブレーションします。輝度は例えば100cd/m2など自分が作業しやすい輝度になるようキャリブレーションします。

 次に色見本を置く台に真っ白な紙などを置き、モニターはRGB(255,255,255)の真っ白な表示にしておきます。
 色見本を置く台を照らすデスクライトの明るさを調整したり、デスクライトを台に近づけたり遠ざけたりして、色見本を置く台に置いた真っ白な紙の明るさが真っ白なモニターの明るさとほぼ同じ明るさになるように調整します。

一枚の商品写真から複数のカラーバリエーションの写真を作る具体的な手順の例

 以下の白いタオルの別の色のパターンを作ってみます。

白いタオルの写真

白いタオルの写真

1.色を変えたい部分の選択範囲を作る

 色を変えたい部分の選択範囲を作ります。

 今回の例では白いタオルの部分の選択範囲を作ります。

 たとえば、多角形選択ツールでタオルを手でなぞって囲みます。
 白い背景で撮影された写真などで、「自動選択ツール」やその他のPhotoshopの自動の選択機能が使えそうな写真なら自動の機能を使ってみます。

多角形選択ツールで選択した例

多角形選択ツールで選択した例

「選択とマスク」で境界を調整します。

「選択とマスク」を使用している例

「選択とマスク」を使用している例

参考記事

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 今回の例ではタオルの手前はピントが合っていて左右の端はボケています。このようなピントの状態も再現するように選択範囲を作る必要があります。
 「選択とマスク」だけでこのような調整が困難なら、「選択とマスク」の調整後にさらにマスクの一部分をぼかすなどの手作業で調整したりします。

選択範囲だけでは不自然になる場合は切り抜いてレイヤーを分ける

 選択範囲を作って色を変更した結果、周囲の色にも影響するなどして自然な結果にならないこともあります。
 単なる選択範囲だけでは作業が困難な場合は、選択範囲を切り抜いて背景と商品を別レイヤーにします。

 今回の例なら、タオルの部分の選択範囲を作ったらその部分を切り抜いてタオルだけのレイヤーを作ります。
 さらに、タオルのレイヤーをわずかに拡大するか、背景のレイヤーを少しタオルの内側に入れるなどして、タオルのレイヤーの色や明るさを変更した時に境界線が不自然にならないようにしておきます。

 タオルの上に花が乗っているので、花も切り抜いて花だけのレイヤーとしてタオルのレイヤーの上に乗せた方が作業しやすいかもしれません。

 今回の例の写真は手前はピントが合っていてタオルの両端の方はピントがボケているので、レイヤーの境界もこのようなピントの具合を再現した状態にします。

2.明るさの調整

 作った選択範囲をレイヤーマスクとして使うなどして調整を進めます。
 色を変えたい部分を別レイヤーにした場合はクリッピングマスクなどを使って特定のレイヤーに対して調整を進めます。

 今のタオルの明るさとほぼ似たような明るさの色に変更する場合はこのままで問題ありません。
 一方、例えば白いタオルの写真を紺色に変更するような場合、明るさが大きく異なるので先に明るさを調整してみます。

 例えば紺色のタオルなら光が当たって一番明るくなっている場所も現在の白いタオルの写真よりかなり暗いです。
 そこで「レベル補正」でタオルの明るい部分を暗くし、その他の部分も調整します。

 「レベル補正」の「出力レベル」の明るい方のスライダーを動かせば明るい部分が暗くなります。

レベル補正で選択範囲内の明るい部分を調整

レベル補正で選択範囲内の明るい部分を調整

 「レベル補正」の「入力レベル」と「出力レベル」の全ての調整欄を使って調整してこれから作りたい色の明るさ・コントラストに近づけます。

レベル補正でさらに調整

レベル補正でさらに調整

 「レベル補正」だけで理想の状態にならなければ「トーンカーブ」なども使って調整します。

 多少不自然でも、ある程度の状態でとりあえず一旦調整を終えます。
 この後色を着ける操作をした後、自然に見えなければこれらのレベル補正やトーンカーブなどの調整レイヤーに戻って明るさ・コントラストをの調整をします。

3.一旦彩度を下げてみる

 白いタオルに色を着けるならそのまま進めてもうまく行くかもしれません。
 一方、白いタオルでも青白い色や黄色っぽい色などが感じられるなら色を着ける作業がしにくいかもしれません。
 また、白ではなく何らかの別の色の商品写真を元画像として使ってカラーバリエーションを作るなら、元画像と大きく異なる色に変更するときに作業しにくいです。
 そのまま色を着ける作業を進めてもうまくいかないようなら、下準備として彩度を下げたり0にしたりしてみます。

 彩度を0にすると余計に自然にならなくなることもあるので、写真ごとに判断します。
 例えば彩度を0にした上で作業を進めてみて、いまいち自然にならないようなら一度彩度を0にする調整レイヤーをオフにして調整をし直してみるなど、色々試してみて最も自然になる方法を採用します。

4.色相を変更

 色相を変えます。

色見本の色の数値を確認

 色見本の色の数値を確認してみます。
 色の数値を確認して機械的に作業しても必ずしも自然な結果にはなりませんが、最終的に手動で微調整を行うにせよ、色の数値を利用すると作業に役立ちます。

画像データが色見本の場合

 画像データを色見本として使用するケースなら、色見本の画像データ内の商品の測定したい色の部分をある程度の広さの選択範囲で囲み、メニューから[フィルター>ぼかし>平均]と進んで平均の色にしてみます。

色の数値を知りたい場所を選択範囲で広めに囲んで「ぼかし>平均」でぼかす

色の数値を知りたい場所を選択範囲で広めに囲んで「ぼかし>平均」でぼかす

 フィルターをかけた場所をスポイトツールでクリックしてRGB値を確認します。

実物が色見本の場合

 商品や素材カラーサンプルの実物が色見本の場合は測色器で色を測定します。

※実物の測定値を写真に機械的に適用してみてもあまり近い色に仕上がらない場合も多いので、色を測定するか見た目だけで作業するかは作業の内容により判断します。

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見本のRGB値のベタを「色相」で乗せる

 色見本のRGB値を確認したら、そのRGB値のベタを描画モード「色相」で乗せてみます。

 色を変えたい部分に「新規塗りつぶしレイヤー>べた塗り」を「描画モード:色相」で乗せます。べた塗りのRGB値は色見本から取得したRGB値にします。

「描画モード:カラー」で良い結果になるなら「カラー」にしてみる

 べた塗りを「描画モード:カラー」で乗せると、雰囲気としてはべた塗りの色相の他に彩度も適用された状態になります。

 通常物を見たときに明るい部分は彩度が高く暗い部分は彩度が低く見えますが、べた塗りを「描画モード:カラー」で乗せると明るい場所も暗い場所も「べた塗り」の彩度が適用され同じくらいの彩度になり、不自然になることが多いです。

 ですが、明るい色の物などでべた塗りを「描画モード:カラー」で乗せて自然な見た目になる場合もたまにあるので、「カラー」で乗せて良い結果になるなら「カラー」で乗せてみます。

4.彩度を調整

 「色相・彩度」や「自然な彩度」の調整レイヤーを乗せて、色見本の見た目に近づくように彩度を調整します。

5.明るさ、コントラストを調整

 はじめに作ったレベル補正の調整レイヤーなどを操作して、色見本の見た目に近付くように明るさを調整します。

 レベル補正の調整レイヤーだけで足りなければレベル補正の調整レイヤーの上にトーンカーブの調整レイヤーを追加するなどして、明るさやコントラストを調整してさらに色見本の見た目に近付くよう調整します。

6.調整を繰り返して仕上げる

 ここまでに作った調整レイヤーに対して微調整を繰り返して色見本の見た目に近付けます。

 以上の操作だけで足りなければ「特定色域の選択」の調整レイヤーも作って調整してみます。
 「特定色域の選択」はかなり微妙な色の調整がしやすいです。

7.選択範囲を作ってシャドウやハイライトの部分ごとに調整してみる

 写真によっては以上の調子だけでは自然にならない場合もあります。

 「色域指定」などを使って特定の明るさの部分だけを選択して色相や彩度を微調整するとうまくいくこともあります。
 実物はシャドウの部分の彩度が低く、調整中の写真のデータではシャドウの部分の彩度が高めになっているために色見本と写真で色が異なって見える場合やその逆のパターンはよくあります。
 そこで「色域指定」でシャドウの部分だけ選択して、「選択範囲を変更>境界をぼかす」を適用するなどし、「色相・彩度」や「自然な彩度」で彩度を調整してみます。

8.色見本と写真が同じ見た目になるまで調整する

 商品写真なら最終的に人が目で見るものなので、理屈だけで作業しても不十分です。
 最終的に自分が目で見て色見本と調整済み画像データを見比べて同じ色に感じられるまで調整を繰り返します。

 以上、一枚の商品写真に写っている商品の色を変えて、複数のカラーバリエーションの写真を作る方法の一例でした。