紙焼き写真やフィルムをスキャニングするとき、原稿の色を正確にスキャンするためにはスキャナーのカラープロファイルが必要です。
スキャナーのカラープロファイルを作成できるツールの例を紹介します。
スキャナーのカラーマネジメントの方法
スキャナーでカラーチャートをスキャンします。
スキャンしたカラーチャートの色と、スキャン結果の画像データの色を比較して、元の原稿の色がスキャン結果の画像データではどのような色になるかを調べます。
調べた結果からスキャナーの特性を示すカラープロファイルを作ります。
スキャナーでスキャンした画像データをスキャナーのカラープロファイルで補正すると実際の原稿と近い色の画像データが出来上がります。
スキャナーにはたいていスキャナーのカラープロファイルが付属しています。
スキャナードライバーをインストールするとスキャナーのカラープロファイルがパソコンにコピーされたりします。
スキャナー付属のカラープロファイルで補正してスキャニングを行うことで、ある程度正確な色でスキャンができます。
しかし、１台ごとのスキャナーで多少は特性に差があったり、年月が経てば多少はスキャナーの特性が変化してきたりします。
そのため、できるだけ精度の高いスキャナーのカラープロファイルを使いたい場合は自分でプロファイルを作る必要が出てきます。
スキャナープロファイル作成ツールを使用して、自分が持っているスキャナー用のカラープロファイルを自分で作成できます。
スキャナープロファイル作成ツールの一例
LaserSoftImaging SilverFast Ai Studio
LaserSoftImagingのスキャナーソフト「SilverFast Ai Studio」にはスキャナーのカラープロファイル作成機能が付いています。
SilverFastはスキャナーソフトで、SilverFastが対応しているスキャナーであればスキャナー付属のスキャナーソフトではなくSilverFastを使ってスキャニングができます。
SilverFast Ai Studioに付いている「オートIT8キャリブレーション」という機能で、IT8カラーターゲットを使ってほとんど自動でスキャナーのカラープロファイル作成ができます。
SilverFast Ai Studio はスキャナーの機種ごとに対応するソフトが販売されています。
以下はEPSON GT-X980用の例です。
様々な機種用のSilverFast Ai Studioがあります。
「SilverFast Ai Studio」はLaserSoftImagingの公式ウェブサイトでも購入できます。
参考リンク
別途「IT8カラーターゲット」も必要
カラープロファイルを作るには「SilverFast Ai Studio」の他に「SilverFast Ai Studio」に対応した「IT8カラーターゲット」も必要です。
「SilverFast Ai Studio」に対応したIT8カラーターゲットはLaserSoftImagingの公式サイトかその他の通販サイトなどで手に入ります。
プリントした写真などをスキャンするためのカラープロファイルを作る場合はリフレクティブ（reflective）と書いてある反射原稿用のカラーターゲットを、フィルムをスキャンするためのカラープロファイルを作る場合はトランスパレント（transparent）と書いてある透過原稿用のカラーターゲットが必要です。
IT8カラーターゲットの例
「IT8カラーターゲット」はLaserSoftImagingの公式サイトでも購入できます。
参考リンク
一般的な写真のスキャニング作業用なら、LaserSolftImageinの公式サイトにある以下に示すカラーターゲットを使えば問題なくスキャナープロファイル作成がおそらくできます。
反射原稿用のスキャナープロファイルを作成したいなら、例えば以下のカラーターゲットがあれば作成できます。
Standard IT8 Targets (ISO 12641-1 compliant 1997) for Scanner Color Calibration
- ターゲットタイプ：キャリブレーションターゲットのみ（ソフトなし）
- 用途：リフレクティブフィルム用
- 大きさ：10×15 cm
透過原稿用のスキャナープロファイルを作成したいなら、例えば以下のカラーターゲットがあれば作成できます。
Advanced Targets (ISO 12641-2 compliant 2019) for Scanner Color Calibration
- ターゲットタイプ：キャリブレーションターゲットのみ（ソフトなし）
- 用途：トランスパレントフィルム用
- 大きさ：3-slide 35 mm
上記のカラーターゲットはあくまで一例です。
カラーターゲットはサイズや種類の異なるものが多数あってややこしいため、購入する場合はメーカーや販売店にどの種類のどのサイズのカラーターゲットを購入するべきか確認した方が良いかもしれません。
参考記事
スキャナープロファイル作成の様子の動画
LaserSoftImaging公式チャンネルにSilverFastで反射原稿用のスキャナープロファイルを作成する様子の紹介動画がありました。
IT8 Scanner Calibration in SilverFast Ai Studio 9 (English)｜SilverFast – Scan & Archiving Software
Calibrite ColorChecker Studio
総合的なカラーマネジメントツールであるCalibrite® ColorChecker Studioにはスキャナープロファイル作成機能も含まれます。
24パッチのミニサイズのColorChecker Classic Miniが付属しているので、反射原稿用のスキャナープロファイルを作成できます。
「ColorChecker Studio」は総合的なカラーマネジメントツールなので、スキャナープロファイル作成の他、モニターキャリブレーション、プリンタープロファイル作成、プロジェクターのプロファイル作成、などもできます。
メーカーのページ
参考記事
フィルムスキャン用のプロファイル作成には別途カラーターゲットが必要
ColorCheckerStudioに透過原稿用カラープロファイルを作るためのカラーターゲットは附属していないため、フィルムのスキャニング用のカラープロファイルを作るためには透過原稿用のカラーターゲットを別途用意する必要があります。
ただし、ColorCheckerStudioの専用ソフトの画面などで対応するカラーターゲットの種類などが説明されていますが、スキャナープロファイル作成用のカラーターゲットは需要が少なく一般的な店やオンラインストアで探しても簡単には見つかりません。
フィルムスキャン用のカラーターゲットが欲しい場合はメーカーや販売店に問い合わせた方が良いかもしれません。
反射原稿用でも精度を上げるには、別途カラーターゲットが必要
ColorChecker Studioに附属している24パッチのミニサイズのColorChecker Classic Miniを使ってスキャナープロファイルが作成できますが、私の経験上、24パッチのカラーターゲットでスキャナープロファイルを作成しても精度が低く、あまり実用的なスキャナープロファイルになりません。
より精度の高いスキャナープロファイルを作るためにはパッチ数の多いカラーターゲットが必要です。
カラーターゲット ColorChecker Digital SG
ColorChecker Studioは反射原稿用のカラーターゲットでパッチ数の多いColorChecker Digital SGをサポートしているようなので、ColorChecker Digital SGを使うと精度の高いスキャナープロファイルを作成できるかもしれません。
ColorChecker Digital SGは通販サイトなどで見つかります。
Calibrite ColorChecker Digital SG
メーカーのページ
LaserSoftImagingのカラーターゲット
ColorChecker Studio の前の機種であるX-Rite i1StudioはLaserSoftImagingのカラーターゲットにも対応していたので、ColorChecker Studio もLaserSoftImagingのカラーターゲットに対応しているかもしれません。
i1Studioは例えばLaserSoftImagingの以下のカラーターゲットが使えました。
Standard IT8 Targets (ISO 12641-1 compliant 1997) for Scanner Color Calibration
- ターゲットタイプ：キャリブレーションターゲットのみ（ソフトなし）
- 用途：リフレクティブフィルム用
- 大きさ：10×15 cm
X-Rite i1Publish Pro 3
総合的なカラーマネジメントツールであるX-Rite i1Publish Pro 3にはスキャナープロファイル作成機能も含まれます。
24パッチのミニサイズのColorChecker Classic Miniが付属しているので、反射原稿用のスキャナープロファイルを作成できます。
上記のColorCheckerStudioと同様に、精度の高いスキャナープロファイルを作成するためにはColorCheckerDigital SGなどパッチ数の多いカラーターゲットを別途用意する必要があります。
またフィルムスキャン用のスキャナープロファイルを作るためにはi1Publish Pro 3 を使うためのソフト「i1Profiler」の画面に表示される説明を見て対応する透過原稿用カラーターゲットを確認し、別途入手する必要があります。
i1Publish Pro 3は総合的なカラーマネジメントツールなので、スキャナープロファイル作成の他、モニターキャリブレーション、RGBプリンターのカラープロファイル作成、LEDプリンター・レーザープリンターやオフセット印刷などのCMYKプリンターのカラープロファイル作成、プロジェクターのプロファイル作成などもできます。
メーカーのページ
販売終了などになった機種
X-Rite i1Studio（販売終了）
総合的なカラーマネジメントツールであるX-Rite®「i1Studio」にはスキャナープロファイル作成機能も含まれます。
「i1Studio」は総合的なカラーマネジメントツールなので、スキャナープロファイル作成の他、モニターキャリブレーション、プリンタープロファイル作成、プロジェクターのプロファイル作成、などもできます。
参考記事
X-Rite i1Studio
X-Rite i1Photo Pro3（生産終了）
総合的なカラーマネジメントツールであるX-Rite「i1Photo Pro3」にはスキャナープロファイル作成機能も含まれます。
「i1Photo Pro3」は総合的なカラーマネジメントツールなので、スキャナープロファイル作成の他、モニターキャリブレーション、プリンタープロファイル作成、プロジェクターのプロファイル作成、などもできます。
参考記事
X-Rite i1Photo Pro3
精度を上げるには、別途カラーターゲットが必要
i1Photo Pro3にはカラーチェッカークラシック ミニという24パッチのカラーターゲットが付いており、このカラーターゲットを使ってスキャナープロファイルが作成できます。
ただ、私の経験上、24パッチのカラーターゲットでスキャナープロファイルを作成しても精度が低く、あまり実用的なスキャナープロファイルになりません。
より精度の高いスキャナープロファイルを作るためには、パッチ数の多いカラーターゲットが必要です。
反射原稿用のカラーターゲットでパッチ数の多いものの例として以下の製品があります。
ColorCheckerDigitalSG
メーカーのページ
LaserSoftImagingのカラーターゲット
i1Photo Pro2のソフト「i1Profiler」はLaserSoftImagingのカラーターゲットにも対応しています。
例えば反射原稿用のスキャナープロファイル作成なら、LaserSoftImagingの以下のカラーターゲットが使えます。
i1Photo Pro3も同じソフト「i1Profiler」を使用するので、おそらくi1Photo Pro3もi1Photo Pro2と同じように以下のカラーターゲットが使用できる可能性が高いです。
Standard IT8 Targets (ISO 12641-1 compliant 1997) for Scanner Color Calibration
- ターゲットタイプ：キャリブレーションターゲットのみ（ソフトなし）
- 用途：リフレクティブフィルム用
- 大きさ：10×15 cm
参考リンク
X-Rite i1Photo Pro2（生産終了）
総合的なカラーマネジメントツールであるX-Rite「i1Photo Pro2」にはスキャナープロファイル作成機能も含まれます。
「i1Photo Pro2」は総合的なカラーマネジメントツールなので、スキャナープロファイル作成の他、モニターキャリブレーション、プリンタープロファイル作成、プロジェクターのプロファイル作成、などもできます。
参考記事
X-Rite i1Photo Pro2
精度を上げるには、別途カラーターゲットが必要
i1Photo Pro2にはカラーチェッカークラシック ミニという24パッチのカラーターゲットが付いており、このカラーターゲットを使ってスキャナープロファイルが作成できます。
ただ、私の経験上、24パッチのカラーターゲットでスキャナープロファイルを作成しても精度が低く、あまり実用的なスキャナープロファイルになりません。
より精度の高いスキャナープロファイルを作るためには、パッチ数の多いカラーターゲットが必要です。
反射原稿用のカラーターゲットでパッチ数の多いものの例として以下の製品があります。
ColorCheckerSG
X-Rite社の写真・映像向け製品の販売がCalibrite社へ移行し、現在はCalibrite社からColorChecker Digital SGが発売されています。
メーカーのページ
LaserSoftImagingのカラーターゲット
i1Photo Pro2はLaserSoftImagingのカラーターゲットにも対応しています。
例えば反射原稿用のスキャナープロファイル作成なら、LaserSoftImagingの以下のカラーターゲットが使えます。
Standard IT8 Targets (ISO 12641-1 compliant 1997) for Scanner Color Calibration
- ターゲットタイプ：キャリブレーションターゲットのみ（ソフトなし）
- 用途：リフレクティブフィルム用
- 大きさ：10×15 cm
プロファイル作成ツールがセットになっているスキャナーもある
以上のように、スキャナープロファイルを作るためにはスキャナープロファイル作成ツールを手に入れたり反射原稿用・透過原稿用のそれぞれのカラーターゲットを別途手に入れたりする必要がありややこしいです。
スキャナーによってはスキャナーとスキャナープロファイル作成ソフトと反射原稿用・透過原稿用カラーターゲットなどがセットで販売されているものがあります。
そのようなセットのものならややこしくなくて楽かもしれません。
一例として、EPSON GT-X980にはスキャナープロファイル作成ソフトと反射原稿用カラーターゲットと透過原稿用カラーターゲットが附属しているようです。
メーカーのページ
以上、スキャナープロファイルを作成できるツールの例でした。