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モニターキャリブレーションツールCalibrite「Display Plus HL」はどのような機器か

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 Calibrite®の中級者〜上級者向きのモニターキャリブレーションツールに「Display Plus HL」という機種あります。
 「Display Plus HL」の仕様などをみてみます。

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はじめに 機器などを買うときの参考情報

 電子機器であれ服であれ、物の製造には深刻な国際問題も関係しています。
 当然ながら、機器を使用する私たちユーザーも様々な国際問題の当事者の一人です。
 仕事や創作活動などを意義あるものにするため、物を買う場合は社会的責任を果たしているメーカーや店の製品を選びましょう。

武装勢力や児童労働と関わりのある原料を使っていないかどうか

 報道によれば、電子機器などの製造に必要な鉱物は武装勢力の資金源になっている鉱山で生産されたり、児童労働につながっているものもあるということです。

参考

華井和代「紛争下の性暴力の構造と日本の取り組み」ーデニ・ムクウェゲ医師来日講演会:平和・正義の実現と女性の人権

デニ・ムクウェゲ「コンゴ東部における性暴力と紛争鉱物(日本語字幕)」ーデニ・ムクウェゲ医師講演会2016

【アムネスティ】スマートフォンに隠された真実:あなたのケータイ、「児童労働」につながっていませんか?(日本語字幕付※設定をONにしてください)|アムネスティ日本

参考リンク

コンゴ民主共和国:スマートフォンの裏に児童労働 : アムネスティ日本 AMNESTY
アップル、サムソン、ソニーなど著名なエレクトロニクス企業は、児童労働など不当に採掘されたコバルトが自社の製品に使われていないかどうかを認識していない。アムネスティ・インターナショナルとアフリウォッチは1月19日、調査報告書の中で明らかにした...

参考書籍

 「人新生の「資本論」」で先進国から他の貧困国へ環境汚染その他の被害が押し付けられ外部化されていることが説明されていました。

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 電子機器などを購入する場合、紛争や児童労働などに関わりのない鉱物を使用しているかどうかなど、製造メーカーがきちんと管理された道筋で原料を調達しているかどうかを確認すると良いでしょう。

 ウェブサイト等で原料調達に関する取り組みについて記載し、調査結果などを公開しているメーカーもあります。

使用後の製品の回収について説明されているかどうか

 物が壊れたら、パソコンやPCモニター等ならPCリサイクルなどに出す、その他の電子機器なら小型家電リサイクルなどに出す、というように法律に従って回収に出す必要があります。

 メーカーによっては使用後の機器の回収方法を分かりやすく説明したり、分かりやすい回収申し込みフォームを用意したりしています。
 一方、使用後の機器の回収について丁寧とは言えない説明しか載せていないメーカーもあります。

 きちんと回収して持続可能な事業活動をしようとしているまじめなメーカーを選びましょう。

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Calibrite「Display Plus HL」

 Calibrite「Display Plus HL」は中級者〜上級者向きのディスプレイのキャリブレーションツールです。
 今使っている普通のパソコンのディスプレイなどのソフトウェア・キャリブレーションができます。

 ソフトウェア・キャリブレーションとは、おおまかに言えば、パソコンから送り出される映像の信号自体の各成分を調整して白色点の色温度・ガンマ・輝度を調整する方法です。映像の信号を減らして調整するため、理屈上は少し画質は劣化します。
 ただし、適正な価格で販売され正常に表示できている一般的な性能の液晶モニターなどをソフトウェアキャリブレーションしたときに目で見てわかるほど画質が劣化するということはあまりないため、それほど心配はいりません。

 尋常でないほどの低価格で販売されているPCディスプレイなどの場合はソフトウェアキャリブレーションをしたとしても正しい表示状態に調整できるとは限りません。キャリブレーションを行なって正しい表示を行うためには、ディスプレイ自体もまともな品質である必要はあります。

Display Plus HL

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メーカーのページ

Welcome to Calibrite
We are dedicated to providing the very best solutions for photographers, filmmakers, designers and content creators.
カラーマネジメントモニターについて
 カラーマネジメントモニターなどと名前の付いているディスプレイはディスプレイ自体にキャリブレーション機能が内蔵されていてハードウェア・キャリブレーションができるものが多いです。ハードウェア・キャリブレーションは、おおまかに言えば、パソコンから送られてくる映像の信号を変更せずにディスプレイの内部で白色点・ガンマ・輝度を調整する方法です。映像の信号を減らさずに調整できるので画質が劣化しにくいです。
 印刷会社で写真を扱う場合など、かなりシビアにデータの色を表示する必要がある業務ではハードウェアキャリブレーションができるカラーマネジメントモニターを使うことになります。

「Display Plus HL」でできること

 「Display Plus HL」で以下のようなことができます。

  • ディスプレイ キャリブレーション
  • プロジェクターのキャリブレーション

など

ディスプレイのキャリブレーションのおおまかな流れ

 ディスプレイのキャリブレーションは一般的に以下のように進めます。

  1. モニターの輝度、白色点の色(色温度)、ガンマ、をどのくらいにするか目標値を決める
  2. ディスプレイキャリブレーションツールの測色器とソフトでディスプレイの表示を測定しながら目標値になるよう調整する
  3. キャリブレーション作業で作成されたディスプレイプロファイルをパソコンのOSでディスプレイに適用する
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「Display Plus HL」のおおまかな仕様など

専用キャリブレーションソフトは「Calibrite PROFILER」

 「Display Plus HL」の専用キャリブレーションソフトは「Calibrite PROFILER」です。

 パソコンに「Calibrite PROFILER」をインストールして、「Display Plus HL」を接続して、使います。

 「Calibrite PROFILER」はCalibriteの公式サイトでダウンロードできます。

白色点の色(色温度)は選択肢から選ぶ、数値で指定、測定値に合わせる、など自由に設定可能

 ディスプレイのキャリブレーションをするときはディスプレイの真っ白な部分の色をどのくらいにするかをキャリブレーションソフトで設定します。

 「Display Plus HL」では白色点の色をD50、D55、D65、D75から選べます。
 色温度[K]の数値で指定することもできます。
 xy、uv、の単位で色度の数値で指定することもできます。
 環境光などを測定し、測定値に合わせることもできます。

 一般的な印刷用、ウェブ用の写真などを扱う作業なら、D50、D55、D65などを選択するか色温度[K]で白色点の色の目標を設定できればたいていは問題ありません。

測定値に合わせる場合

 ディスプレイ周辺の環境光を測定し、測定値に合わせて白色点の色の目標を設定できます。

 キャリブレーションソフトの内容を確認した限りでは、別のモニターの白色点を測定し、その測定値に合わせて白色点の目標を設定することもできるようです。また、紙の色を測定してその測定値に合わせて白色点の目標を設定することもできるようです。
 ただし、別のモニターの白色点の測定値や紙の色の測定値に合わせて白色点の色の目標を決める方法については、「Display Plus HL」で実際にできるかどうか販売店などに確認して下さい。

参考記事

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輝度は自由に設定可能

 ディスプレイのキャリブレーションをするときはディスプレイの真っ白な部分の明るさ、輝度をどのくらいにするかをキャリブレーションソフトで設定します。

 「Display Plus HL」では40〜6000cd/m2の範囲で自由に輝度目標を設定できます。
 60、80、100、120、140、160、250、3000、6000cd/m2の選択肢から目標値を選ぶこともできます。
 環境光などを測定し、測定値に合わせることもできます。

 パソコンで印刷用やウェブ用の写真やグラフィックを扱う用途では、モニターの白色点の輝度は80〜160cd/m2くらいの範囲でキリの良い輝度値に調整して作業することが多いです。

測定値に合わせる場合

 ディスプレイ周辺の環境光を測定し、測定値に合わせて輝度の目標を設定できます。

 キャリブレーションソフトの内容を確認した限りでは、別のモニターの白色点を測定した測定値や、紙を測定した測定値に合わせて輝度目標を設定することもできるようです。
 ただし、別のモニターの白色点の測定値や紙の測定値に合わせて輝度目標を決める方法については、「Display Plus HL」で実際にできるかどうか販売店などに確認して下さい。

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ガンマは数値で自由に設定可能

 ガンマの目標は数値で指定して自由に設定できます。
 sRGB、BT1886(HDR Video)、の選択肢もあります。

 現在のようにICCプロファイルを使用したカラーマネジメントシステムが普及する前の時代では、モニターと印刷物の見た目を近づけるためにモニターのガンマを調整する必要がありました。
 しかしカラーマネジメントシステムが普及した現在では、ディスプレイをキャリブレーションする時にガンマの目標値を1.8にしても2.2にしてもそれ以外にしてもAdobe® Photoshop®やAdobe® Illustrator®のようなカラーマネジメント対応ソフトで表示する限りは同じ見た目になります。

 ですので一般的な印刷用、ウェブ用の写真などを扱う作業ならガンマは2.2でたいてい問題はありません

 当方は詳しくありませんが、映像を扱う業界など業務によっては用途によってガンマを2.2以外に設定する必要があるかもしれません。

参考記事

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コントラスト比

 コントラスト比はおおまかに言えば真っ黒な部分と真っ白な部分の比のようなことです。

 「Display Plus HL」では、モニターの状態そのまま(ネイティブ)の他、数値で設定したり測定値に合わせたりする方法も用意されています。

 真っ黒から真っ白までが広いに越したことはないため、一般的な印刷用、ウェブ用の写真などをAdobe® Photoshop®やAdobe® Illustrator®などで扱う用途では「ネイティブ」にしておけばたいていは問題ありません。

 オフセット印刷したりインクジェットプリンターで出力したりしたとき、データ上では真っ黒な部分(例えばRGB(0,0,0)やC40M40Y40K100など)は当然ながら反射率0の真っ黒になるわけではありません。多少は光を反射するので真っ黒よりは少し灰色っぽく見えたりします。
 そのような印刷結果、出力結果をモニター上で再現したければコントラスト比の目標を「ネイティブ」以外に設定する場合もあるかもしれません。
 しかしPhotoshopなどのカラーマネジメント対応ソフトには真っ黒な部分の出力結果を再現する機能はいくらかあるので、そういった機能で足りるなら、出力結果をモニター上で再現したい場合でもコントラスト比は「ネイティブ」にしておけば済みます。

カラーパッチのセットの選択肢

 モニターキャリブレーション作業では様々な色をディスプレイに表示して測定し、ディスプレイプロファイルを作ります。

 「Display Plus HL」ではディスプレイプロファイルを作るためのカラーパッチの数118パッチ、211パッチ、461パッチから選べます。

測色器は三刺激値直読のタイプの色差計

 「Display Plus HL」の測色器は色差計、色彩計と呼ばれるもので、三刺激値直読のタイプの測定器です。分光測色計ほど精度は高くありませんが価格は低いです。

 「ColorChecker STUDIO」や「i1Pro」などは分光測色計というもので、光の様々な波長について強さを調べます。精度は高く、価格も高いです。カラーマネジメントツールの少し高度な機能は分光測色計が必要なものが多いです。

Mini-LED、Apple Liquid Retina XDR ディスプレイ に対応

 「Display Plus HL」はMini-LED、Apple Liquid Retina XDR ディスプレイのキャリブレーションに対応しています。

 キャリブレーションソフトのディスプレイとテクノロジーのタイプの選択肢に「Mini LED」があり、Mini-LED、Apple Liquid Retina XDR ディスプレイをキャリブレーションする場合はこれを選びます。

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他の製品との機能の比較

 「Display Plus HL」と同じシリーズの製品に「Display SL」「Display Pro HL」もあります。
 以下は各機種間の機能比較の表です。

Welcome to Calibrite
We are dedicated to providing the very best solutions for photographers, filmmakers, designers and content creators.

 Calibrite製品の日本総販売代理店、株式会社ヴィンチェロのウェブページにもCalibrite製品の機能比較表があります。

 以上、Calibrite「Display Plus HL」のおおまかな仕様などをみてみました。

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