サテン調の光沢があり、バライタ紙を再現したHahnemühle/ハーネミューレの高級インクジェット用紙にFineArt Baryta Satin/ファインアートバライタサテンがあります。
ファインアートバライタサテンはどのようなインクジェットペーパーか見てみます。
ファインアートバライタサテンはハーネミューレの高級インクジェット用紙
FineArt Baryta Satin/ファインアートバライタサテンは、Hahnemühle/ハーネミューレの作品用高級インクジェット用紙の「グロッシーファインアート」シリーズの用紙の内の一つです。
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メーカーのカタログによる主な特徴
バライタフォトペーパーの質感を再現
バライタ紙は現在一般的なRCペーパー(レジンコート紙)の印画紙が普及する前に使われていた印画紙です。RCペーパーが普及してバライタ紙の需要は減少したものの、高級印画紙として使われ続けました。
現在も写真のプリント向きの高級インクジェット用紙などでバライタタイプの印画紙を再現した用紙が作られています。
「ファインアートバライタサテン」は硫酸バリウムコーティングでバライタ紙の質感を再現した用紙です。
サテン調
サテンは表面に光沢のあるなめらかな肌触りが特徴の朱子織りの布です。
「ファインアートバライタサテン」はサテン調の紙で、弱い光沢とテクスチャー感があります。
無酸性 アシッドフリー
現在一般的に売られている紙はほとんどが中性紙であり酸性ではありませんが、短期使用する紙と違い長期保存に耐えるためには一般的な紙以上に無酸性であることは重要です。
高級インクジェット用紙には、長期保存に耐えるようアシッドフリーと明記された用紙がよくあります。
「ファインアートバライタサテン」はアシッドフリーと明記された無酸性の紙です。
蛍光増白剤無添加
蛍光増白剤は光のうち特定の波長を吸収し、青い光に変えて照射するような物質で、蛍光増白剤を使用すると紙が青白く見えて見た目の白さが増します。
しかし、紙や、紙に印刷した色の安定性は落ちます。
「ファインアートバライタサテン」は蛍光増白剤を使用しない紙であるため、年月が経っても色の安定性が高いです。
ISO9706の基準に準拠
ISO 9706:1994 情報・ドキュメンテーションー記録資料用紙ー耐久性のための用件 という保存に適した用紙の基準を定めた国際規格があります。pH、引裂き強さ、アルカリ残留物、酸化への耐性などが定められています。
「ファインアートバライタサテン」はISO9706の基準に準拠している保存性の高い紙です。
実際に見た雰囲気、プリンター出力の例
厚さなど
ファインアートバライタサテンは厚さ0.37mm、坪量300g/m2です。
EPSON®の写真用光沢RCペーパーの写真用紙クリスピア<高光沢>が厚さ0.30mm、坪量300g/m2、写真用紙<光沢>が厚さ0.27mm、坪量255g/m2です。
ファインアートバライタサテンは一般的なRCペーパーの写真用光沢紙と比べて厚さは少し厚く、密度は少し低めの用紙です。
厚さの雰囲気としては一般的な画用紙くらいの厚さです。(画用紙と言っても色々な厚さのものがあるので、あくまで大雑把な雰囲気です。)
表面の様子
表面はほんのごくわずかにテクスチャー感があるだけでほぼ平滑で、弱い光沢があります。
他のバライタ紙ほど光沢は強くない
ファインアートバライタサテンは弱い光沢がありますが、同じくバライタ紙を再現した「ファインアートバライタ」「フォトラグバライタ」などの紙ほど光沢感は強くありません。
参考記事
インクジェットプリンターで印刷した時の色域の一例
ファインアートバライタサテンは一般的なRCペーパーの写真用光沢インクジェット用紙に近いくらい広い色域で印刷できます。
ファインアートバライタサテンに写真をプリントする場合
インクジェットプリンターでファインアートバライタサテンを使用する場合、少し厚い用紙で多少反りがある場合もあるのでプリントヘッドが用紙に接触しやすく注意が必要です。
また、インクジェットプリンター出力全般に言えることですが、単純にプリンター出力を行うとモニターの表示と比べて鮮鋭さが下がりわずかにボケた状態に見えてしまうことも多いです。モニターの表示と近い鮮鋭さで出力するためには画像データに対し多少の処理が必要です。
ファインアートバライタサテンに写真をプリントする場合で、事務所や家庭のプリンターで出力が困難な場合は、当事務所のプリントサービスへご依頼頂けますと幸いです。
以上、ファインアートバライタサテンはどのようなインクジェットペーパーか見てみました。
参考