インクジェットプリンターやレーザー・LEDプリンター等にはCMYKのインクやトナーが使われています。オフセット印刷もCMYKのインクを使います。
同じCMYKなので、同じ色のように感じるかもしれませんが、違う色です。
ここでは、プリンターとオフセット印刷のインクは、同じCMYKではあるが色が同じわけではないことを紹介します。
オフセット印刷のインクとプリンターのインクの違い
オフセット印刷のCMYKインク
オフセット印刷のCMYKのインクは、インクのメーカーがオフセット印刷で使用するために製造しているインクです。
詳しい成分などはメーカーから資料をもらうと分かります。
なお、細かく言うと、オフセット印刷でもUV印刷や水なし印刷など色々種類が出ているので、インクの成分もたぶん違います。
インクジェットプリンターやレーザー・LEDプリンターのCMYKインク
インクジェットプリンターのCMYKのインクは、インクジェットプリンターで使用するためにプリンターメーカーが製造しているインクです。
とても小さいインクの滴を紙に飛ばすため、インクの性質自体もプリンターの技術と一体なので、プリンターという装置の一部のようなものです。
レーザープリンターやLEDプリンターのCMYKのトナーは、レーザープリンターやLEDプリンターで使用するためにプリンターメーカーが製造しているものです。
トナーの性質自体もプリンターの技術と一体なので、プリンターという装置の一部のようなものです
プリンターとオフセット印刷のインクは用途が違うので色も違う
オフセット印刷と、インクジェットプリンターやレーザープリンター・LEDプリンターの印刷は仕組みが違うので、使うインクやトナーもそれぞれの用途で作られています。
そのため、同じCMYKで似た色はしていますが、同じ色ではありません。
オフセット印刷用のCMYKデータをCMYKプリンターで単純に印刷してもオフセット印刷の色は再現されない
オフセット印刷用のCMYKデータで、オフセット印刷したらどういう色になるか
オフセット印刷用のCMYKデータがあり、予定している印刷条件を狙って適切なCMYK値になっているとします。
このCMYKデータをオフセット印刷すれば、狙い通りの印刷結果が得られます。
オフセット印刷用のデータを、CMYK4色のインクジェットプリンターで印刷するとどうなるか
オフセット印刷用のCMYKデータを、CMYK4色のインクジェットプリンターで印刷すると以下のようになります。
アプリケーションソフトなどで開かれたCMYKデータが示しているデバイスに依存しないL*a*b*やXYZで表された色を、プリンタードライバーが理解し、その色をできるだけ再現できるようにCMYKインクの割合を計算して印刷されます。
その結果、CMYKのインクの量は元のデータのCMYKデータのCMYK値とは別なものになります。
もし単純にCMYKデータのCMYK値の通りのインクの量の割合でCMYK4色のインクジェットプリンターで印刷したらどうなるか
もし、CMYKデータのCMYK値の通りに単純にCMYK4色のインクジェットプリンターに印刷させたら、たぶん変な色になります。
なぜなら、オフセット印刷用のCMYKデータのCMYK値は、オフセット印刷の仕組みで印刷するために最適なCMYK値になっているのであり、CMYK4色のインクジェットプリンターの仕組みで印刷するために最適なCMYK値になっているわけではないからです。
オフセット印刷用のデータを、レーザープリンターやLEDプリンターなどのCMYKプリンターで印刷するとどうなるか
オフセット印刷用のCMYKデータを、レーザープリンターやLEDプリンターなどのCMYKプリンターで印刷すると多くの場合は以下のようになります。
RIPに入ってきたCMYKデータに、入力プロファイルが適用され、その結果デバイスに依存しないL*a*b*やXYZで色が表されます。
その色をできるだけ再現できるようにRIPがCMYKの割合を計算して版を作り、印刷されます。
その結果、CMYKのトナーの量は元のデータのCMYKデータのCMYK値とは別なものになります。
もし単純にCMYKデータのCMYK値の通りのトナーの量の割合でCMYKプリンターで印刷したらどうなるか
もし、CMYKデータのCMYK値の通りに単純にレーザープリンターやLEDプリンターなどのCMYKプリンターに印刷させたら、たぶん変な色になります。
なぜなら、オフセット印刷用のCMYKデータのCMYK値は、オフセット印刷の仕組みで印刷するために最適なCMYK値になっているのであり、CMYK4色のレーザープリンターやLEDプリンターの仕組みで印刷するために最適なCMYK値になっているわけではないからです。
DTP作業をしている人のパソコンにあるCMYKプロファイルはたいていオフセット印刷用
印刷用のデータを作成する機会のある人のパソコンの中には、たいていいくつかCMYKカラープロファイルが入っていると思います。
例えばJapan Color 2011 Coated、CoatedFOGRA39、などです。
これらはオフセット印刷の特性を示したCMYKプロファイルです。
CMYKプリンターや、CMYK4色インクジェットプリンターの最終的なトナーやインクの量などを決めているもの
レーザープリンターやLEDプリンターなどのCMYKプリンターも、RIPで最適なCMYKの量などを計算して版を作るので、自分のプリンター用のCMYKに変換するための何かはあるでしょう。
しかし、これはプリンターメーカーの人が扱う部分で、通常はユーザーには分かりません。
CMYK4色のインクジェットプリンターも、プリンタードライバーなどで自分のプリンター用に最適なCMYKインクの量を計算するので、その計算をするための何かはあるでしょう。
しかし、これはプリンターメーカーの人が知るところで、通常はユーザーには分かりません。
参考の本
CMYKプリンターでオフセット印刷用CMYKデータをそのまま出力しても、オフセット印刷の色は再現できない
以上の説明から分かる通り、CMYKプリンターでオフセット印刷用のCMYKデータをそのまま出力しても、オフセット印刷の色は再現できません。
カラーマネジメントを理解してプリンターを使うときは、インクの種類は気にしないと良い
カラーマネジメントの仕組みを理解してプリンター出力を行うときは、プリンターのインクの種類を気にしないほうが良いでしょう。
気にするべき問題はプリンターが再現できる色域などです。
プリンターを作っているメーカーの人にとっては、インクが4色のプリンター、6色のプリンター、10色のプリンターではインクの出し方が大きく異なり、何色のプリンターを作るかということは重要な問題でしょう。
一方仕事や創作活動でプリンターを使う側にとってはインクがCMYK4色でも、CMYK+2色でも、10色機でも、RGBプリンターでもCMYKプリンターでも、出力するときに考慮することはあまり変わりありません。
インクの種類よりアプリケーションソフトの印刷設定、プリンタードライバーの設定、RIP内の各種項目の設定が気にする必要のある内容です。
プリンターのCMYK変換はプリンター任せなのに、なぜオフセット印刷は自分でCMYK変換する機会が多いのか
以上のように、プリンター用の色の変換は通常はプリンタードライバーやRIP任せです。
なぜオフセット印刷用のデータはデータを作る人がCMYK変換したり初めからCMYKで作ったりすることが多いのでしょうか。
おそらく、オフセット印刷の場合、黒い文字や線はK版だけにしたり、スミのせにしたり、青空から意図的にYを抜いたり、ビールが美味しそうに見えるようにCを抜いたりすることもよくあり、その後CMYKの割合が変わると都合が悪い場合が多いからかもしれません。
また、オフセット印刷用のデータは最近は素人の人が作るケースも増えていますがもともとは職業人が作る前提だったからかもしれません。
参考記事


