プロテスタントのキリスト教の宗教上の教えの体系を説明したような本であるカルヴァンの「キリスト教綱要」を読むときの参考情報です。
1960年代に初版が出た渡辺信夫訳「キリスト教綱要」は読みにくすぎた
プロテスタントのキリスト教の教理の内容は非常に分かりにくいです。
書店に新約聖書とヘブライ語聖書(旧約聖書)はいくらでも売られているので、買ってきて読めますが、聖書をひたすら読むだけでキリスト教の教理が分かるものでもありません。
カルヴァンの「キリスト教綱要」はプロテスタントの教理を体系的に説明しているような内容の本らしいので、札幌市内の古本屋で1960年代に初版が発行された渡辺信夫訳の「キリスト教綱要」を4巻分買ってきて読み始めました。
とりあえず1巻目は読みましたが、日本語の文章が分かりにくすぎて非常に理解しにくいです。
文章が完全に間違っているわけではありませんが、翻訳が下手だからなのかどうか分かりませんが普通の読みやすい日本語の文章とはかけ離れていてとてつもなく読みにくいです。普通なら3つの文くらいに分けた方が良さそうなものを1つの文に続けて書いてあったりします。
小難しい本は1回読んでも10%くらいしか意味が分からないような場合が多く、何回か読めば多少は意味が分かってきます。
「キリスト教綱要」も小難しい本なので1巻目を読み終えた後再び1巻目の初めから読み始めましたが、分かりにくすぎて嫌になり一旦読むのをやめました。
1930年代に初版が出た中山昌樹訳「キリスト教綱要」も読みにくすぎた
渡辺信夫訳の「キリスト教綱要」が読みにくいとしても、「キリスト教綱要」以外にプロテスタントの教理の内容を体系的に説明しているような本が分からず、「ハイデルベルク信仰問答」は多少そのような内容ですが説明が短すぎて分かりにくいので、結局「キリスト教綱要」を読むしかありません。(詳しい人なら別の本を色々と知っているかもしれません)
渡辺信夫訳の「キリスト教綱要」より古い日本語訳に、1930年代に初版が出た中山昌樹訳の「キリスト教綱要」もあります。
翻訳した人間が異なれば多少は読みやすい日本語の可能性もあるだろうと思い、「日本の古本屋」で中山昌樹訳の「キリスト教綱要」を書いました。
ところが、中山昌樹訳の「キリスト教綱要」はかなり古いので日本語自体が古い言葉遣いのためとても読みにくく、渡辺信夫訳の「キリスト教綱要」より読みにくいくらいです。
1巻目の最初の方を読んだだけで読みにくすぎて嫌になって一旦読むのをやめました。
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久米あつみ訳「キリスト教綱要(1536年版)」は説明が分かりにくかった
「キリスト教綱要」は、はじめに刊行された後にカルヴァンが何度も加筆して段々長い本になっていったらしく、渡辺信夫訳「キリスト教綱要」などは最終的な状態らしいです。
久米あつみ訳「キリスト教綱要(1536年版)」というはじめに刊行されたときの内容の「キリスト教綱要」の日本語訳が出版されていました。
訳者が異なれば日本語は少し分かりやすいかもしれず、何巻もある最終形の「キリスト教綱要」より短い分多少は分かりやすいかもしれないと思い、札幌駅の近くの北海道キリスト教書店で注文して買って読みました。(なお北海道キリスト教書店は2024年10月で閉店してしまうらしいです)
最初に刊行されたものなので最終形の「キリスト教綱要」よりかなり短く、厚さ数cmの普通の専門書くらいの厚さの1巻だけの本です。
ところが、最終形の「キリスト教綱要」ほど内容が練られていないためか、説明が体系的でなく分かりにくく、まだ説明されていないことが説明なしで出てきたりします。
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渡辺信夫訳「キリスト教綱要」を我慢して読む
結局、渡辺信夫訳「キリスト教綱要」が最もマシだということが分かり、読みにくい本ですがこの本を我慢して読んでいます。
新しい訳の渡辺信夫訳「キリスト教綱要」があるらしい
2007年発行の渡辺信夫訳「キリスト教綱要 改訳版」新教出版社 という本があります。
私がはじめに古本屋で買った1960年代初版発行の渡辺信夫訳「キリスト教綱要」を改訳したものらしいです。
この本なら多少は読みやすくなっているのかもしれません。
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補足 本は批判的に読む
どのような本でも批判的に読みます。
「キリスト教綱要」なら1500年代に書かれた本で、現代人で教育を受ける機会があった人なら最低限の人権意識は身についていますが、カルヴァンは「人権」という考え方が生まれる以前に生きていた人なので現代人の我々のような人権意識はおそらくありません。
また、現代人の我々は社会は分業でお互い様で成り立っていることや、年収10億円の人でも年収150万円の人でも1日間働いて作り出している実際の価値は大して差がないことなどを知っているので、収入の額や社会的地位などにかかわらずお互いに対等な者として付き合いますが、「キリスト教綱要」を読む限りカルヴァンは自分のような知識人は生活に必要なモノやサービスを作り出す一般的な仕事に従事している人々より格が上で偉いと思い込んでいます。
カルヴァンの考えを無批判に読んだりせず、同意できないことを書いていたら同意せず、別におかしいことは書かずにキリスト教の教理を真っ当に説明している部分は普通に読んで理解を進めます。
参考リンク
参考書籍
“パレスチナ問題は決して“難しく”ない。早稲田大学(10/23)、京都大学(10/20)の講義に加筆・収録。「まずここから」の一冊。今起きていることの歴史的文脈とポイントがわかる。”
“「聖書」とは「聖なる書物」のことである。それは一冊の書物のように思われていることもあるが、キリスト教の聖書は二つの書物群からなる。「旧約聖書」と「新約聖書」と呼ばれているものである。一度ある書物(群)が「聖書」とされると、それは絶対化される。「聖書」は「神の言葉」であるから絶対だ、と。そして「聖書」の教えに反するとされた者は断罪され、抹殺されるということが起こる。それは「聖書」の権威を傘に、自らを絶対化・正当化する暴力である。”