ディスプレイやプリンターはキャリブレーション作業・デバイスプロファイル作成によってカラーマッチングして使います。
デジタルカメラも一種のデバイスプロファイルをつくってキャリブレーションすることができます。
ここではデジタルカメラのキャリブレーションができるツール、ColorChecker Passport Photo 2をご紹介します。
X-Rite社から「ColorChecker Passport Photo 2」が発売されていましたが、X-Rite社の写真・映像向け製品の販売がCalibrite社へ移行し、現在はCalibrite社から「ColorChecker Passport Photo 2」が発売されています。
カメラと他のデバイスのカラーマネジメントの違い
ディスプレイやプリンターはできるだけ完璧にカラーマッチングして使うことが多い
ディスプレイやプリンターは、作り上げた色を表示・出力する機器です。
そのため、作り上げた色と違う色になると支障があるので、カラーマネジメントを利用してできるだけ正確に機器同士をカラーマッチングして使うことが多いです。
キャリブレーション用のツールも、できるだけ完璧にカラーマッチングできるように作られています。
高い精度でカラーマネジメントを行うため、デバイスプロファイル作成時のテストチャートのパッチも数百〜2000パッチ前後のものを使います。
カメラは寸分たがわず完璧にカラーマネジメントする、という場合は少ない
一方、カメラはディスプレイやプリンターほど完璧に寸分たがわず実物の色とカラーマッチングさせることは少ないです。
おそらくカメラは色のデータの作り始めの作業で、撮影後にきれいに作り上げる前提の場合が多いからかもしれません。
少し体調不良で顔色の良くない人、くすんだ葉っぱ、色がすっきりしない空などを、そのまま撮影したいという需要よりは、血色の良い顔色で、鮮やかな緑色で、爽やかな青空の写真に仕上げたいという需要の方がおそらく多いでしょう。
また技術的な事情もあるのかもしれませんが、カメラのキャリブレーション、プロファイル作成は、ディスプレイやプリンターのキャリブレーション作業よりもおおまかです。
使用するテストチャートのパッチ数も少ないです。
ColorChecker Passport Photo 2でカメラのキャリブレーションができる
ColorChecker Passport Photo 2を使ってカメラのキャリブレーションができます。
メーカーのページ

ColorChecker Passport Photo 2の仕様など
- ターゲットの種類
- クラシック ターゲット
ホワイトバランス ターゲット
グレーバランスターゲット
クリエイティブ補正ターゲット - 付属ソフト
- カメラ キャリブレーション ソフトウェア
- ターゲットのパッチの数
- クラシック ターゲット 24パッチ
- サイズ
- パスポートくらいのサイズ
メーカーの動画
ColorChecker Passport 2|Calibrite
ColorChecker Passport Photo 2の4種類あるカラーターゲットの用途
クラシック ターゲット
クラシック ターゲットはカメラプロファイル作成に使います。
プリンタープロファイル作成におけるテストチャートと同じ意味合いのものです。
写真編集作業中にも使えます。

上のターゲットがクラシック ターゲット(写真はX-Rite ColorChecker Passport)
ホワイトバランス ターゲット
ホワイトバランス ターゲットはホワイトバランスをとるためのターゲットです。

ホワイトバランス ターゲット(写真はX-Rite ColorChecker Passport)
グレーバランスターゲット
18%グレーのターゲットで、撮影時の露光の調整などに利用できます。
クリエイティブ補正ターゲット
クリエイティブ補正ターゲットは写真の色を軽く補正したり、白飛びや黒つぶれが起きていないか確認したりするためのターゲットです。
カメラのキャリブレーション用というより、写真編集作業中に使うものです。

下のターゲットがクリエイティブ補正ターゲット(写真はX-Rite ColorChecker Passport)
カラーターゲット用のホルダー(別売)
ColorChecker Passportをはじめ、Calibriteの各サイズのカラーターゲットを三脚などに取り付けて保持できる別売りのマルチサイズ ターゲットホルダーというグッズもあります。
Classic Miniから標準サイズのColorChecker ClassicやColorChecker Digital SGまで取り付け可能とのことです。
便利ですが結構高いです。
メーカーのページ

ColorChecker Passport Photo 2によるカメラプロファイルの作成、使用の手順
ColorChecker Passport Photo 2によるカメラプロファイルの作成、使用は、おおまかに以下のような手順で行います。
(以下ではX-Rite ColorChecker Passportを使用していますが、Calibrite ColorChecker Passport Photo 2もほぼ似たような手順だと思われます。)
1 ターゲットを撮影してくる
カメラプロファイルを作りたい光源の下に行きます。
晴れの日の昼間の屋外用のカメラプロファイルを作りたければ、晴れの日の昼間に屋外に行きます。
ホワイトバランスターゲットと、クラシックターゲットを一般的な良い加減の明るさ・コントラストでRAWで撮影してきます。
2 RAWデータをDNGファイルにする
撮影してきたRAWデータを、Adobe® Photoshop®またはAdobe® Photoshop® Elements付属のCamera Rawか、Adobe® Lightroomで開いて、ホワイトバランスをとって、露光量を軽く調整して、DNGファイルで保存します。
3 付属のカメラキャリブレーションソフトウェアでカメラプロファイル作成
ColorChecker Passport Photo 2付属のカメラキャリブレーションソフトウェアでDNGファイルを開き、DNGファイルに写っているカラーターゲットの色をもとにしてカメラプロファイルを作成します。
4 CameraRawまたはLightroomで現像時にカメラプロファイルを使う
カメラキャリブレーションソフトウェアでカメラプロファイルを作成して保存すると、CameraRawまたはLightroomで現像作業をするときにカメラキャリブレーションの操作画面でカメラプロファイルを選べるようになります。
カメラプロファイルをつくる為にカラーターゲットを撮影したときと同じ環境で撮影したRawデータを現像するとき、対応するCameraRawまたはLightroomで対応するカメラプロファイルを適用します。
その結果、カメラプロファイルによって写真の色が補正されます。
ColorChecker Passport Photo 2のその他の使い方
カメラプロファイル作成はColorChecker Passport Photo 2の機能の一つです。
それ以外に、撮影時に各ターゲットを写しておいて、現像や写真編集作業時に目やすとして色々と使えます。
パソコンを変えた結果ColorChecker Passport Photo の付属ソフトが使えなくなった場合の対応方法
今まで使っていたパソコンが壊れて別のパソコンに変えた結果、今まで使っていたColorChecker Passport Photoの付属ソフトが使えなくなることもあるかもしれません。
その場合はメーカーのサイトから最新のバージョンの付属ソフトをダウンロードすることで対応できます。
参考リンク
以上、デジタルカメラのキャリブレーションができるツール、ColorChecker Passport Photo 2の紹介でした。
ColorChecker Passport Photo 2 (カラーチェッカー・パスポート・フォト2)
参考記事





もう少し大きいカラーターゲット