NECのカラーマネジメントディスプレイ「MultiSync® LCD-PA271Q-BK」(生産終了)の仕様をみてみます。
機器などを買うときの参考情報
電子機器の製造には深刻な国際問題も関係しています。
機器を使用する私たちユーザーもそれらの国際問題の当事者の一人です。
物を買う場合は社会的責任を果たしているメーカーや店の製品を選んで、やりがいのある仕事や創作活動をしましょう。
武装勢力や児童労働と関わりのある原料
報道によれば、電子機器などの製造に必要な鉱物には武装勢力の資金源になっている鉱山で生産されたり児童労働につながっているものがあります。
紛争や児童労働などに関わりのない鉱物を使用しているかどうか、製造メーカーがきちんと管理された道筋で原料を調達しているかどうかなどを確認してみましょう。
「メーカー名 + 紛争鉱物」などで検索すると、メーカーの公式サイト内の原料調達に関する取り組みや調査結果の報告のページなどが見つかります。
詳しく取り組みや結果を報告しているメーカーもあれば、報告などはほとんど公開していないメーカーもあります。
参考



参考書籍
以下の本で先進国から他の貧困国へ環境汚染その他の被害が押し付けられ外部化されていることが説明されていました。
使用後の壊れた製品の回収
壊れたパソコンのモニターなどは法律に従ってPCリサイクルや小型家電リサイクルに、その他の壊れた電子機器なら法律に従って小型家電リサイクルに出したりして再資源化します。
パソコンやモニターの場合なら「メーカー名 + PCリサイクル」などで検索すると各メーカーの回収・再資源化の申込や回収率の報告書などのページが見つかります。
分かりやすくていねいに説明しているメーカーもあれば、そうでもないメーカーもあります。
MultiSync® LCD-PA271Q-BKはカラーマネジメントディスプレイ
MultiSync® LCD-PA271Q-BKはハードウェアキャリブレーションが可能なカラーマネジメントディスプレイです。すでに生産終了になっています。
最終的にモニターに表示される色数よりはるかに多い色数で調整、計算を行なった上で画面表示を行うことで階調表現などの画質を劣化させずに表示を行えるなど、一般的なモニターより高度な作りになっています。
メーカーのページ
中古モニター販売店
まずは良い中古品を探すのも良いでしょう。
中古品を購入すると新品を1台作らずに済むので環境負荷が低く済みます。
MultiSync® LCD-PA271Q-BK
NECのSOHO/企業向けオンラインストア
キャリブレーションを行うのに必要なオプションの測色器
キャリブレーションを行うのに必要なオプションのキャリブレーションソフト
色域 AdobeRGBカバー率98.5%
色域はAdobeRGBカバー率98.5%、NTSCカバー率96.1%ということです。
フォトレタッチ作業に十分でしょう。
sRGBなどのプリセットがある
表示特性のプリセットがあり、sRGBのモードなどが用意されています。
その他、プリセットがいくつかあり、自分で調整した表示特性を保存しておいて作業に応じて切り替えたりできます。
補足説明 表示可能な色域がAdobeRGBをカバーしていないとAdobeRGBのデータを扱えないわけではない
ディスプレイの表示可能な色域がAdobeRGBをカバーしていないと、AdobeRGBのデータを扱えない、というわけではありません。
カラーマネジメントシステムの仕組みは、AdobeRGBの色域を持ったデータをsRGBくらいの色域しか表示できないディスプレイでも扱えるようになっています。
参考記事

専用キャリブレーションソフトは「SPECTRAVIEW2」
LCD-PA271Q-BKでハードウェアキャリブレーションを行う場合、キャリブレーション用ソフトウェアは「SPECTRAVIEW2」を使います。
ハードウェア・キャリブレーションとは
ハードウェア・キャリブレーションは、パソコンから送られてくる映像の信号を変更せずに、ディスプレイの内部で白色点・ガンマ・輝度を調整する方法です。映像の信号を減らさずに調整できるので画質が劣化しません。
そのモニター専用のキャリブレーションソフトを使わなければハードウェアキャリブレーションはできない
LCD-PA271Q-BKは普通の液晶モニターであり、「SPECTRAVIEW2」以外のキャリブレーションソフトも一応使えます。
例えば、Datacolor「SpyderX Pro」の付属キャリブレーションソフトを使ってキャリブレーションをするようなこともできます。
しかし、そういった一般的なモニターキャリブレーションツールのソフトを使用した場合はソフトウェア・キャリブレーションを行うことになります。
よって、ハードウェアキャリブレーションが可能なモニターを使っている意味があまりなくなります。
ソフトウェア・キャリブレーションとは
ソフトウェア・キャリブレーションとは、パソコンから送り出される映像の信号自体の各成分を減らして白色点の色温度・ガンマ・輝度を調整する方法です。映像の信号を減らして調整するため、少し画質は劣化します。
LCD-PA271Q-BKは測色器外付けのディスプレイ
「LCD-PA271Q-BK」は測色器は内蔵されていません。キャリブレーションするときに測色器を外付けして使用します。
どのような測色器が使えるのか
「SPECTRAVIEW2」に対応している測色器であればハードウェア・キャリブレーションができます。
以下は使用可能な測色器の一例です。(2022年5月12日に確認した時点のもの)
(「SPECTRAVIEW2」の説明書の「対応カラーセンサー」の欄に使用可能なキャリブレーションセンサーの一覧があります)
- NEC MDSVSENSOR3
- datacolor Spyder3、Spyder4、Spyder5、SpyderX
- i1Display Pro
- i1Pro2、i1Pro3、i1Pro3 Plus
など。
SPECTRAVIEW2のページ
Calibrite社の製品は対応しているのかどうか
X-Rite社の写真・映像向け製品の販売がCalibrite社へ移行した結果、i1Display ProなどX-Riteの測色器の多くが販売終了になり、Calibrite社から後継機と思われる製品が発売されています。
当方がメーカーのウェブサイトで確認した限りでは、Calibriteから発売中の測色器への対応についての説明は見つけられませんでした。
LCD-PA271Q-BKのその他の主なスペック
液晶パネルの種類 IPS
IPSパネルは、液晶セルの液晶分子の配列方法で最も一般的なTNのパネルの視野角が狭いという欠点を解消した方式です。
現在カラーマネジメントディスプレイとして販売されているディスプレイはほとんどIPSパネルを使っているようです。
フォトレタッチ作業に十分です。
サイズ 27.0型
27.0型であれば普通のフォトレタッチ作業には十分でしょう。
表示画素数 2,560×1,440
表示画素数は2,560×1,440で、普通のフォトレタッチ作業には十分でしょう。
表示色 約10億7374万色(10bit入力時)
表示色は、DisplayPort/HDMI®を使用すると10bit入力が可能で約10億7374万色です。
通常の8bit入力で使えば約1,677万色です。
色数自体は普通のフォトレタッチ作業には十分です。
高い精度で階調や色を表現するために実際の表示色よりはるかに多い色数で内部の計算を行なう方法をとっています。
なお、Photoshopで16bit/チャンネルのモードで画像データを処理する作業自体は通常の8bit入力の約1,677万色の表示で問題なく行えます。
参考リンク


視野角(標準値) 左右178°、上下178°
液晶表示モードの種類はIPSであることで、視野角は広めの178°です。
フォトレタッチ作業に問題ありません。
輝度 350cd/m2
普通のフォトレタッチ作業には十分でしょう。
フォトレタッチ作業なら多くの場合80〜120cd/m2くらいの範囲で作業します。
スマホなどの初期状態くらいの明るさを再現して作業する場合にも、160cd/m2前後にできれば十分です。
コントラスト比 1500:1
普通のフォトレタッチ作業には十分です。
応答速度 8ms
写真など静止画の作業をする分には8msで問題ないでしょう。
ゲーム用のディスプレイ
ゲーム用のディスプレイなどは応答速度が速い必要があるので非常に速い機種もあります。
そういったディスプレイは、応答速度が速い代わりに液晶表示モードの種類がTNなどであるため視野角が狭目で、画質もカラーマネジメントディスプレイとして売られているようなモニターに比べると低い場合が多いです。
以上、一般的なフォトレタッチ用途の側面から、LCD-PA271Q-BKの主なスペックについてみてみました。
参考記事





